気候温暖化について 泉 満明

 18世紀半ばの産業革命により化石燃料の使用や森林の減少で大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加し、温暖化が顕在化してきました。二酸化炭素は温暖化への影響度が大きく、温室効果ガスの76%をしめています。次いでメタンで16%です。産業革命前の大気中の二酸化炭素の1750年は280ppmでしたが、2021年には412ppmと増加しました。季節変動を繰り返しながら二酸化炭素の濃度は増加し続けています。

 地球は温室効果ガスに囲まれているので、平均気温は14C前後ですが、もし大気中に水蒸気、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスがなければ気温はマイナス19Cくらいの冷たい地球になりますので、適切量の温暖化ガスは必要ですが、最近は必要量をうわまわってきています。20世紀100年当たりの平均気温上昇は0.6Cですが最近の平均気温上昇率は高くなっております。 

 化石燃料の利用を減らさないとこの傾向は続きます。2016年一年間に、世界約190カ国から排出された二酸化炭素の総量は、約323憶tですが、そのうち70%近くは、日本を含めてたほんの十数カ国からの排出がしめました。特に先進国は省エネを急速にすすめ、エネルギー消費量の削減が急務であります。

  最近、極端な高温、低温や強い雨など、特定の指標を超える現象の最高気温が35度以上の猛暑日や1時間降水量が50mm以上の強い雨がふり、熱波から寒波、旱魃から大洪水をもたらす巨大台風などしばしば破壊的な状況にむすびついています。気温上昇による旱魃で食糧不足にもなり、水資源不足にもなりますし、しばしば少雨乾燥で自然発火で森林火災が発生しています。農業生産は減少し生態系、生物多様性への影響がおおきくなります。異常気象による海水温の上昇でサンゴ礁が被害を受け、南北極の大規模氷床が融解し熱塩循環など海洋システムが狂い。さらに海面水位が上昇し、マラリアなどの熱帯感染症が拡大してゆきます。異常気象は日常となり、気象災害の持続性は高まっています。

 世界的に工業化が拡大、交通需要の増大し、人間の生活水準の高度化により石炭や石油が大量に消費され、鉄鋼、セメントの生産などの産業活動によって、窒素酸化物や(NOX)二酸化炭素(CO2)等の大気汚染物質の排出量が増大しています。温暖化効果ガス濃度のティピングポイント(臨界点)を超えると人類存続にかかわる危機的状況になるだろうと予測されています。

 温室効果ガスの増加を防ぐには、産業活動の省エネ化、人間の日常生活の省エネ化さらに自然エネルギーの活用の三つつの方法が考えられます。

  工業関連では。鉄鋼、セメント製造については熱管理、製作工業では工作管理。使用材料の選択、加工などでの省エネ化が必要である。

 人間生活関連では。

  航空機:国内空路は基本的に中止、海外空路は路線を整理、航空会社を除く会社や   

      個人の航空機所有を禁止。

  船舶:海運会社、漁業関連の船舶を除く会社や個人の所有を禁止。

  鉄道:高速、大量、長距離の貨物輸送にはトラックより鉄道優先。

  移動手段:自家用車 社用車の所有禁止。エッセンシャルワークにおける使用は制 

     限なし。代替え手段として二人乗りの軽自動車をタイムシェアリング利用、  

     バス、鉄道、船舶、日常の移動は自転車。

  生活全般:全ての照明はLED使用、生活に不可欠の夜間照明以外は禁止、1日の 

       食事は3000kc程度、冷暖房はエアコン禁止。水の節約。風呂は3  

       日に1回。その他余剰食糧の再利用、衣服数の制限、資材の再利用な 

       ど。全て物のリサイクル。   

 以上はかなり厳しいものと思われるが、20世紀前半の生活と思えばそれほど厳しいものではない。

 使用できる自然エネルギーは。

 種類として主なものは、太陽光、風力、地熱、河水 海水の再生可能エネルギーです。何れのエネルギーも電気エネルギーなどに変換するためには装置の作成、建設工事が必要です。稼働するためには相当の資材とエネルギー消費が必要となります。

 例えば、水力発電では稼働する前には水力発電機と関連装置の作成、ダムの建設に多くの資材とエネルギーが消費され結果として膨大な二酸化炭素が排出される。稼働後も維持管理にそれなりのエネルギーが必要である。現在の技術力では再生可能エネルギーの利用は炭酸ガスの排出を完全に抑えることはできない。

 経済とエネルギー、そして環境問題は相容れることが非常に難しく。現在の産業構造は大きな変革を必要とされているが!

 地球の環境を悪化させないために、二酸化炭素の削減にはホモ・サピエンスの現在の技術水準では工業生産活動の低下、我々の生活水準の低下が必須の条件となる。

 

 参考文献 泉 満明 著  未来のためのミッション  新潮社