人口問題と食料問題 泉 満明

 20世紀の世界は人口面において爆発的増加の世紀として人類史に記録されるでしょう。世界の人口は18世紀半ばころから、増加率を高め20世紀入りまさに爆発的増加を続けてきています。世界人口がこの先2050年に100億人になった時、それだけの人に食糧をどう行きわたらせるかいうのは重要な問題である。

 人口問題で最初に気にかかることは、「持続可能な世界」に人間は何人までなら無理なく生きられるか、という命題をアメリカの大学教授が試算しました。世界人口、地球上に存在する資源、人口の変化、エネルギー等を考慮し、世界人口が最大でどのくらいならば人類が絶滅の危機に直面せずに済むのかを検討した結果「約20億人が最適」でした。東洋大学の川野祐司教授は別の方法で研究して、同じく20億人が適切と結論しています。世界的にみると人口は4日に100人増加している。だがこうした数字は実感しにくいので人類は制御できないまま増え続け、やがて破滅するだろう。そんなシナリオを変える唯一の手法は,全人類が自分を犠牲にして自発的に絶滅するケースを除けば、私たちを特別な存在としているのはやはり知性なのだと証明することである。知性による解とは、つまり今後は地球上の出産可能な全女性に子供一人と限定するものである。

 そうした厳しい産児制限がきちんと守られた結果、人口がどう変動するか正確に予測することは難しい。試算の結果何とか明日からはじめれば、今世紀半ばまで10億人が減り、地球上の全生物の生活環境は劇的に変わっているはずである。2075年は34億人程度に減少、2100年までに16億人になる。

 こうして、人間が現在よりはるかに扱いやすい数に減ると、生活環境の向上だけでなく私たちの存在をコントロール知恵も手にいれる

 世界人口が顕著に増加し始めて以来。「地球が一体どれだけの人口を養えるか」という問題は多くの人々の身近な重要な関心事である。これについて近年にいたるまで様々の人によって調べられてきている。世界人口がこの先100億人なった時、それだけの人々に食糧をどう届けるか、間もなく増産がおいつかなくなり「人類は滅亡する」のではないかと悲観的な予測をする人はずっといましたが、この考え方が誤ったことはやがて一人の人物により証明されました。ノーベル平和賞を受賞した農学者ノーマン・ボーローグです。彼は来るべき食糧危機にそなえて「高収量型小麦」の改良に取り組んで何年にわたる研究により新た小麦品種の改良に成功しました。この小麦はメキシコの農家を救い、数年にうちに世界の発展途上国で栽培されるようになりました。これがのちの「緑の革命」となりました。しかし、緑の革命は高収量が望めるようになったが、世界中の農業が小麦、米、トウモロコシ、イモ類、大豆という5つの主要な作物だけに過度に依存することになり病気や環境変化の際に供給が一気に減少するよわみをもつことになった。さらに、大量の化学肥料、農薬を必要とし、トラクターなどの耕作機械を動かすのにそれなりの化石燃料が必要である。

 食糧危機はじわじわと忍び寄ってきており、食糧問題の解決に使用される技術には様々のものがあり、農業技術の改良に貢献するものも多くありますが、最近、あらたな

緑の革命」の可能性として注目を集めているのが「フードテック」です。これは最先端のテクノロジーを活用して、世界人口の増加と食糧危機・生産性向上と環境保護・多様化する食・フードロスのすべてに対応し、食の可能性を広げてゆこうとするものです。

 現在、食料の供給の面では世界各地の戦争で生産量の低下、輸送力の低下で輸入国である低開発国では量の不足、価格の高騰で苦しんでいる現状である。

 今後の人口増加と食糧問題で注意しなければならないのはアフリカであり、今世紀の半ば頃に世界の人口が90億人予想されているのは、アフリカの人口の伸びが予想以上であったからで21世紀の終わりには39億人にまで増加するとされています。アフリカ大陸は現在の10億人ですら十分に支えられていない。支援する国々も自国の問題で、支援することは十分には行えないことになろう。困ったことに人口が増えるのは貧しい国々ばかりです。すでに述べた様に、この人口爆発を少しでもに対応するために、その国の出産可能な全女性に子供一人と制限する政策をできるだけ早く行うべきでしょう。いずれにしても、農業生産性の向上、食料問題をを世界で支援することが世界で緊急な問題となろう。

  我が国において、先進国共通の人口オーナスの問題があり経済政策に大きな影響をあたえている。さらに我が国にとっては食料自給率が30%程度であり、休耕地の活用などを含め今後の世界的な食料逼迫に早急な対策をたてる必要があると思います。

 

  参考文献 泉 満明 著 未来のためのミッション 新潮社